【宮城県知事選】参政党が支援・和田政宗が現職と接戦。参政党知事の誕生で宮城県は財政破綻自治体になる!?【林直人】
◾️仙台空港「世界的ハブ化」――8年前の政策を「新公約」と謳う厚顔
和田氏は、仙台空港を「世界的ハブ空港」へと飛躍させると高らかに宣言する。力強い公約だ。しかし、一つだけ問題がある。それは、氏が「これからやる」と語る政策が、8年も前からすでに進行中の現実であるという点だ。
仙台空港のハブ化は、2016年の民営化と同時に始まった国家プロジェクトであり、現在は民間事業者の手で着実に推進されている。国際線はすでに就航し、LCCの拠点も設置された。これを自らの「新たな構想」であるかのように語る姿勢は、県政の重要政策に対する無知の表れか、あるいは現政権の功績を意図的に横取りしようとする試みなのか。具体的な上乗せ計画が示されない限り、この公約は中身のない言葉遊びであり、有権者を欺くレトリックに過ぎない。
◾️仙台城復元――財政危機を前に「数百億円の郷愁」を優先する倒錯
仙台城の本丸を木造で復元する。誰もが心惹かれるロマンだろう。だが、このノスタルジアには、県の未来を犠牲にしかねない天文学的なコストが隠されている。
被災した熊本城の復旧に1,000億円近い巨費が投じられている事実を見れば、仙台城の完全復元が「数百億円」規模の事業となることは想像に難くない。問題は、その優先順位の完全な誤りである。
前述した通り、宮城県は深刻な人口減少と財政破綻の危機に瀕している。このような状況で、県民の生活に直結しない象徴的な事業に莫大な公金を投じることは、為政者の責務の放棄に等しい。その数百億円は、逼迫する医療や子育て支援、老朽化するインフラの維持にこそ使うべきではないのか。この公約は、県が直面する厳しい現実から目をそらし、郷愁という名の甘い幻想に県民を誘う、危険な計画なのである。
◾️契約破棄で「巨額訴訟」、病院再編は「白紙」で放置か――和田氏の「見直し公約」が招く県政大混乱
刷新や見直しは、時に必要だ。しかし、もしその「見直し」が、より深刻な混乱と破綻への引き金だとしたらどうだろうか。元参院議員、和田政宗氏が掲げる主要政策の転換案は、県民の不満に便乗した危険な賭けである。実行可能な代替案を欠いたまま現状を破壊するこれらの公約は、宮城県を法的な泥沼と行政的な停滞の淵へと突き落としかねない。